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翻訳家・古沢嘉通氏の、文庫の初版部数と翻訳者のギャラについてのツイートがバズっている。現時点で2700以上リツイートされているようだ。

下がり続ける新書や文庫の初版部数

下記はそのツイートの引用である。翻訳書に限らず、最近は確かに新書・文庫ともに初版部数を絞る傾向が強い。自分の担当した新書でも、初版6000部だったものがある(結果としてヒットしたが)。1000円以上が当たり前の学術文庫などを除くと、このあたりが現在の最低ラインだろう。

先日、同業者と話をしていて、某社文庫の初版部数に驚愕した。いや、ついにそこまで下がりましたか、と呆気にとられた。1冊の本を3カ月かけて訳して、税込印税が30万切るという。翻訳家の年収120万円時代が現実のものになっているとは。専業の出版翻訳家が存在できる時代は、終わったね。

引用:古沢嘉通氏のツイートより。

翻訳者の印税は5〜6%が基本

翻訳者は、出版社にもよるが印税5〜6%(原作者にも同じくらいの印税が支払われる。版権取得時の前払金などもあるし、実際には段階制でもう少し複雑だがここでは割愛)がデフォルトである。定価750円、初版6000部、印税6%で計算すると27万円+税(税込30万円以下)になるので、リアリティのある数字だ。

版権取得時に見込みの初版部数などは計算済みなのだから、もちろん編集者は「初版で止まると翻訳印税が30万円以下になってしまいますが、それでもやっていただけますか?」とオファーしていると思われる。合意の上だけど、厳しいねえという話である(たぶん)。

読書にも語学力が求められる時代

状況改善の見込みはないため、初版をあまり刷ることができないタイトルを翻訳出版するなら、兼業の翻訳家に頼むしかない時代になってきているのは否定できない。数万部までいけば数百万円のギャラになるが、保証されているのは初版分だけである。

そして、翻訳を見送られるタイトルが増えていくのも間違いないだろう。読書のためにも、英語を再勉強しようと思う今日このごろ。

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