フリーランスは、入院すると大変だとよく言われる。その期間は収入が減るのに加えて(ライフネット生命の調査では、5割以上のフリーランスが「病気やケガに対する保障が少ない」ことを不安として挙げている)、代わりに仕事をやってくれる人材を確保しないと、取引先に迷惑がかかるからだ。
法人化していてバックアップ体制が多少あるとはいえ、私もフリーランスに近い存在。先日、虫垂炎(盲腸)を発症して緊急入院することになり、その大変さを思い知ったので、ここに体験を記したい。
明日の仕事の代理を探すのは無理ゲー
そもそも入院するのが人生初だったのだが、医師の告知は突然である。下腹部が痛むので診察の後にCT撮影と血液検査をしてもらうと、「虫垂炎をかなりこじらせてるので、今から入院してください」と告げられた。
「こじらせてはいるが、普通に歩けているので、臓器と脂肪でガードされて、膿腫が外部に影響を与えていない可能性がある。うまくいけば、抗生剤だけで治療できるかもしれない」とのことで、その可能性にかけるための即日入院に、全く異論はなかった。
問題は、直近の仕事の引き継ぎである。代われる仕事は代わってもらい、引き継ぎが難しいものは医師と交渉して外出許可で対応することにしたが、さすがに翌日の仕事の代理を探すのには苦労した。誰でもいいわけではないし、電話をかけても予定がある人ばかりである。
結局はリスケしてもらったものの、大変申し訳ない気持ちになった。常に最悪の事態を想定して仕事をしているつもりだったが、自分の入院は全くの想定外だったからだ。
意外と大きい収入の欠損
日本には高額医療費制度があるので、入院費は自己負担10万円(月額)を超えることがなく(改訂されたので、収入によっては月額14万円がマックス)、たいしたことはない。今回は抗生剤(ペニシリン)がすざまじく効くという奇跡が起きて5日で退院できたため、自己負担6万円と制度を使う必要すらなかった。
ただ、時期や期間によって収入の欠損が大きくなるため(私の場合、1カ月前であれば5日で15万円強の欠損が発生していた。今回は2万円以内で済みラッキーである)、総合的になかなかのダメージになっていた可能性もある。これはいたしかたないだろう。
最終的に、金銭的なことよりも、もしもの時のバックアップ体制を強化すべきという結論に至った。健康管理にさらに気を配るのはもちろん、いくつか提携可能な編集プロダクションを探していきたい。