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2007年以降に先進国で生まれた子どもは100年以上生きるのが当たり前になるようだ。

リンダ・グラットン&アンドリュー・スコット『LIFE SHIFT(ライフ・シフト) 100年時代の人生戦略』(東洋経済新報社)に引用されているデータによれば、日本で2007年に生まれた子どもの半数が達する年齢は107歳。

アメリカ、イタリア、フランス、カナダなどでも半数が104歳に達すると推測されている。結果として、これまでの3ステージ制(教育・仕事・引退)とは違う人生戦略が必要になるというのが、本書の主張である。

2007年に日本で生まれた子どもの半分は、107年以上生きることが予想される。いまこの文章を読んでいる50歳未満の日本人は、100年以上生きる時代、すなわち100年ライフを過ごすつもりでいたほうがいい。

引用:『LIFE SHIFT(ライフ・シフト) 100年時代の人生戦略』

100年時代は80代まで働く可能性大

健康で長生きするのは良いことだが(健康寿命も延びている)、医療制度が危機的状況になっており、今後AIの普及などによりなくなると言われている仕事のことも考えると、お金の問題はかなりシビアだ。

著者たちはロンドン・ビジネススクールのMBAプログラムの授業で100年ライフについて話すとき、学生たちに自分の人生のシナリオを考えさせる。学生たちの頭に真っ先に浮かぶのはお金の問題だ。

そこでこう尋ねる──「100歳まで生きるとして、勤労時代に毎年所得の約10%を貯蓄し、引退後は最終所得の50%相当の資金で毎年暮らしたいと考える場合、あなたは何歳で引退できるか?」

詳しくは第2章で論じるが、この場合は80代まで働くことが求められる。教室は静まり返る。

引用:『LIFE SHIFT(ライフ・シフト) 100年時代の人生戦略』

本書では100年時代をサバイブするための方法がシミュレーションとともに書かれているが、特に変化に対応するための柔軟性が重視されている。パートナー選びなどもその視点で提案がなされており、興味深かった。

100年時代に当たり前になる新たなステージ

そして、100年時代において登場する新たなステージとして紹介されているのが、エクスプローラー、インディペンデント・プロデューサー、ポートフォリオ・ワーカーという選択肢である。

不安に突き動かされて、3ステージの生き方が当たり前だった時代は終わりを迎える。人々は、生涯にもっと多くのステージを経験するようになるのだ。

選択肢を狭めずに幅広い針路を検討する「エクスプローラー(探検者)」のステージを経験する人が出てくるだろう。

自由と柔軟性を重んじて小さなビジネスを起こす「インディペンデント・プロデューサー(独立生産者)」のステージを生きる人もいるだろう。

さまざまな仕事や活動に同時並行で携わる「ポートフォリオ・ワーカー」のステージを実践する人もいるかもしれない。

(中略)同世代の人たちが同時に同じキャリアの選択をおこなうという常識は、過去のものになっていく。

引用:『LIFE SHIFT(ライフ・シフト) 100年時代の人生戦略』

新しいステージに向けて、余暇をレクリエーションだけに使うのではなく、リ・クリエーション(スキルなどへの自己投資)にも使うことが推奨されている。

アーリーリタイアは完全な幻想に

本書で客観的なデータを見ると、アーリーリタイアなんてものはすでに幻想となっていて、生涯現役の時代をいかに楽しむかを考えたほうがベターということを痛感させられる。

100歳からの視点で現在の自分と向き合うきっかけになるので、50歳未満の方は一読しておくといいかもしれない。

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