漫画評論家・伊藤剛氏のツイートを機に、フリーライターのギャラの安さ(主にウェブ媒体)が話題になっているようだ。
一連のツイートがまとめられたtogetterを見ると、途中から、ひどい案件自慢の様相を呈している。しかし、本当にそうなのだろうか。
記事1本600円の執筆依頼
もちろん、紙媒体でもウェブ媒体でも、ひどい案件があるのは事実だ(どこの業界でも同じだと思うが)。やはりこういうのは知人の実話が一番ぐっとくるので、人気スポーツライター・高崎計三先生のツイートを紹介したい。
ニュースサイトの原稿料相場
しかし、昔のウェブ媒体は確かにお金にならなかったけど、今はまともになってきているというのが私の認識だ。
2002年頃の実話だと、知人の映画ライターが、ニフティの映画紹介ページの原稿を1本1000円で書いていた(試写会は招待してもらえるが交通費は自腹)。「FLiX」の編集者がサイトを仕切っており、そいつが抜いていただけだと思うのだが、当時のウェブは広告でのマネタイズも簡単ではなかったし、仕方ない部分はあるだろう。
そして、2015年現在は、一般のニュースサイトの記事で、1本2500円〜5000円(基本、取材なし)+インセンティブ(5万PVごとに5000円プラス等)くらいが相場らしい(一応、2媒体にヒアリングはした。どちらも出版社系)。1PVあたり0.3〜0.5円の広告収入が発生すると考えると、まあ妥当ではないだろうか。
また、ニュースサイトと月額で契約しているライターもいる。
数カ月前にスタートアップ系のニュースサイトと月額契約しているライターに話を聞いたが、それ以外の単発の仕事でも、1記事あたりのギャラが1万円を下回ることはないとのことで(2万円以上のものも多いようだ)、ウェブ媒体もギャラが高くなったのだなと実感した。「ぐるなび」の特集記事などもギャラが良いらしい。
年収2000万円超の女性ライター
ウェブ媒体ではないが、年収2000万円以上のパチンコ誌の女性ライターも実在するし(正確には、専門誌ライターという肩書きを使って、ホールイベントのギャラ=1回約20万円や動画出演で稼ぐというビジネスモデル)、要はやりようではないだろうか。
ネットライターとして稼ぎたいのならPVを集められる書き方を修得すればいいし、高単価なウェブ媒体に執筆の場を移してもいい。評論はお金にならないけど、それが大学でやる講義の人気につながっているとか、記事が別の価値を生み出すケースもあるだろう(上記の女性ライターもそのパターン)。
以上、ライターは確かに大変な部分もあるが、そんなに状況は悪くないのでは。