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先日読んだ宇野常寛氏の新刊で紹介されていて気になっていたのが、エミリー・マッチャー『ハウスワイフ2.0』(文藝春秋)。新しいかたちの主婦(ハウスワイフ2.0)について、多面的に論考している書籍である。

ネットを活用し起業する自然派の主婦たち

ハウスワイフ2.0の特徴は、下記のようなものだ。

・会社を選択的に離脱する。

・企業社会で燃え尽きた母親世代を反面教師にする。

・田舎生活を楽しみ、ジャムをつくり、編み物をする。

・ストレスのある高報酬より、ほっとできる暮らしをする。

・ウェブ、SNSを使いワークシェアを利用する。

・ブログで発信し、起業する。

・家事を夫と分担し余裕をもった子育てをする。

引用:エミリー・マッチャー『ハウスワイフ2.0』(文藝春秋)袖コピーより。

日本でもハウスワイフ2.0が活躍

日本でもハウスワイフ2.0は数多く誕生しており、レシピブロガーなどが典型例だ。私のいる出版業界でもベストセラーの源泉となっているし、夫より多くの収入(ブログの広告収入などを含む)を得ている人もたくさんいるだろう。

著者のエミリー・マッチャー自身も、ハーバード大卒業後、研究職のキャリアを捨ててハウスワイフ2.0として活躍しているとのこと。

彼女たちへの批判もしっかりと紹介

本書の面白いところは、このハウスワイフ2.o現象について、批判的な意見もしっかりと紹介していることだ。

あるハウスワイフ2.0が、報酬につられてマクドナルドのステルスマーケティングにいそしむ姿や(自然派とはほど遠い)、彼女たちが努力をせずに人気になったと勘違いし、後を追って失敗するフォロワーの姿にも触れられている。

だが、そんな批判があっても、大半のハウスワイフ2.0たちが目指す「会社に使われない生き方」、もっといえば、無理のないKINFOLKやクウネルのような感じというのは魅力的ではないだろうか。

失敗しないためのハウスワイフ2.0の条件

本書では、失敗しないためのハウスワイフ2.0の条件が4つ挙げられている。日本にもあてはまるものなので、家でサロンを開いたり、ブログを本格的に始めたりしたいという方は、参考にするといいかもしれない。

1. 男性にも手作り家事に参加してもらう

そもそも仕事第一主義の男性は減っているので、子育てや手作り家事(パンを焼くなど)に積極的に参加してもらうことが推奨されている。

2. 経済的自立を大切にする

いざという時に経済的に自立していないと、女性は弱い立場になりがちだ。憧れのライフスタイルだけに目を向けず、お金のこともあらかじめ考えておく必要がある。

3. ほどほど恵まれている中流階級だと自覚する

本物の富裕層でないと、全てを思い通りにするのは難しい。完璧を求めずに、掃除が苦手であれば安価な家事サービスを利用したり、可能な選択肢で妥協することも覚える。

4. 社会全体の利益を考える

そもそもハウスワイフ2.0現象は、男性社会で女性が同じように働くのを強いられることへのカウンターとして誕生した経緯がある。社会全体のことを考えながら、家庭作りに取り組むことが、女性が生きやすい社会につながる。

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以上が、ハウスワイフ2.0の4条件である。翻訳書ならではの読みにくさはあったが、参考になる情報は多かった。おそらく私も今後、ハウスワイフ2.0にカテゴリーされる女性たちの本を、何冊かつくることになる気がしている。

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