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『絶景のポリフォニー』『okinawan portraits』(ともに赤々舎)で、2014年度「木村伊兵衛賞」を受賞した新人フォトグラファー・石川竜一氏(川島小鳥氏も同時受賞)。写真もそうだが、アウトロー感が強い。

その石川氏のインタビューが発売中の「サイゾー」に掲載されていた。読んでみると、沖縄在住&アウトローというテーマのせいか、仕事は増えてないらしい。

以前、別の木村伊兵衛賞受賞者に話を聞いたことがあるが、その方は「大御所と思われてしまい、逆に仕事が減った」とぼやいていた。受賞作が売れることは間違いないが、意外と単純に仕事に直結するものでもないのかもしれない。

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石川氏はさらにインタビュー内で、川島氏と同時受賞のせいで賞金が半額になってしまったことを冗談交じりに怒っていて、好感が持てた。

賞金は借金返済に充てるそうだ。漫画家の魚喃キリコ氏が、昔、新人時代の『ガロ』のインタビューで、「お金を稼いでマンション買って、家賃をゼロにしたい。そうすれば好きなことができる」的なことを答えていて、その時もたいへん好感を持ったのだが、美しいたくましさだと思う。

下記は、石川氏が写真展『絶景のポリフォニー』に寄せたステートメントである。

この島は、人間の欲と悲しみにふりまわされてきた。だからこそ平和で豊かな南の島を夢見てきたし、そうであろうとしてきた。ただそれは、抑えることのできない欲と、それによって生まれるカオスをいつも孕んでいる。

力強い自然があり、普通と思われる生活があり、楽しいこともそれなりにある。そんななかで作者たちは、解消しようのないフラストレーションを抱えながら、起こるはずのない特別な瞬間を待ち、毎日を、ただ悶々と過ごしている。

当然のことだが、全ての存在や出来事は等価ではない。この世界でそれぞれが全く別のものとして別の価値をもち、主張し合っている。主体となるものや、時間、状況、対象、どれかが少しでも違えば、全てのものが変化し、また全てが同じように揃うことはない。そして、そんな一つ一つのことにほとんど意味はない。全てのことはつながり、そのつながりのなかでだけほんの少し、それぞれに意味が生まれる。

今そこにあるものを、できる限り受け入れること。「研ぎすます」や「無駄を削ぎ落とす」ということは技術的なことではなく、自分の経験や培ってきた概念をできる限り捨て、今この時と向き合うことだ。そうすることで、これまでの鎖から解放され、また新しい「何か」が入ってくる。捨てて捨てて捨てて、今この時に捨てられずに残ってしまっているもの。それが今の自分のどうしようもないクソッタレのアイデンティティに他ならない。

こちらのサイトで何枚か写真も見られるので、気になる方はぜひチェックを。

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