フリーランスでやっていくコツの記事がかなりシェアされたこともあり、シリーズで、いくつか記事を書いていこうと思う。先の記事では「法人顧客」と「収益パターン」が大事と書いたが、今回は法人顧客を意識することのメリットがテーマである。
規模によっては、法人顧客を意識するだけで、一発でビジネスが安定するインパクトを持っている。
ランチ移動販売店の生存戦略
2年前くらいだろうか、打ち合わせで幻冬舎によく行っていた時期があった。幻冬舎の近くの駐車場には、車でランチ他を移動販売している店(個人店のはず)があったのだが、いつの間にか、販売場所が幻冬舎の敷地内に移っていた。
社員に話を聞くと、幻冬舎の社員が少し安く買える代わりに、敷地で販売を許可するということで合意に達したらしい。幻冬舎サイドは社食がないので福利厚生になるし、移動販売店側は、駐車場からNGが出て販売ができなくなるリスクや場所代の負担がなくなる(もしかしたら多少は発生しているかもしれない)。
社食的に使ってもらうことでビジネスが安定
さらに、移動販売店は、社員数100人規模とはいえ(バイトを入れればもっとだろう)、大口の顧客を捕まえることに成功している。場所もそれまでと5mくらいしか変わらないので、既存顧客も減らない。
おそらく、移動販売店の店長は、終電が当たり前の幻冬舎社員よりも労働時間が短く、収入は多くなったのではないだろうか。メニューが豊富で、社員からも喜ばれているという話だった。
敷地内まではいかないまでも、法人顧客を意識している飲食店は、これに準ずる施策を打っていることが多い。個人店ではないが、最近では、六本木の「豚組」が、ミッドタウンで働くYahoo!などの社員を対象に、社員証でランチ100円引きを行っているのを目にした。
一緒にいる人も割引になるので、ランチの選択肢として優先順位は上がっていると思われる(昼からしゃぶしゃぶというのもなかなか良かった)。
美容系や健康系は応用しやすい
これらの実例は、飲食店に限らず、美容系や健康系のフリーランスには応用しやすいだろう。個人のサポートが、法人に所属する個人をサポートするのに変わるだけだからだ。
例えばヨガであれば、個人を対象にしたグループレッスンができる人は、企業を訪問してやるグループレッスンもできるはずである。マッサージなどマンツーマンのものだとしても、地元の企業割引をするだけで、顧客が一気に増える可能性は高い。
……私がいる出版業界ではイマイチ応用しづらい実例なのだが、汎用性は高いので紹介させてもらった。特に自宅でサロンをやっている方などは、取り入れてみるといいのではないだろうか。