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作者の死後、続編や書きかけの作品が、別の作家の手によって発表されるケースが稀にある。伊藤計劃氏の絶筆を円城塔氏が引き継いで完成させた『屍者の帝国』(河出文庫、日本SF大賞特別賞等受賞)などは、その成功例だろう。

 14カ国で第1位を記録

そして今回、スティーグ・ラーソンの「ミレニアム」シリーズの続編『ミレニアム4 蜘蛛の巣を払う女 』(早川書房)が発表された。執筆は遺族から指名されたダヴィド・ラーゲルクランツ。タブロイド紙の記者出身の作家とのことだ。

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第3部までで6000万部以上売れた大ベストセラーの続編であり、『ミレニアム4』もすでに14カ国で第1位を獲得するなど派手な記録を打ち立てている。日本版はデータを見ると上下巻ともに初版3万部くらいと推測されるが(紀伊國屋書店の入荷数1500冊弱から推測)、さっそく増刷も決まったそうで、順調に売れ行きを伸ばしている。

おそらく映画のリメイク版(ダニエル・クレイグ✕ルーニー・マーラ版の次作)に合わせて文庫化され、さらに本格的に部数を伸ばすと思われる。私もルーニー・マーラ演じるリスベットのファンである(『ソーシャルネットワーク』との役柄の差が凄い)。

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存在する草稿を使わずに発表された第4部

「ミレニアム」はラーソンの遺稿(第4部の300ページ近い草稿)が存在することが知られている。『ミレニアム4』はそれを元にした新作、つまり『屍者の帝国』と同じケースで完成されたのかと思ったが、実は全くの別物。

遺族が遺稿を持っておらず(ラーソンの内縁の妻が保有しているが、遺産配分が認められないため原稿は渡すことはなさそうである)、設定のみを利用した新作小説である。

出版社が134ページ分の無料PDFを公開中

ファンにとっては複雑なところだし(ラーソンの第4部を無視しているとも言える)賛否も分かれているが、日本版は幸い、早川書房が134ページ分の試し読みPDFを用意してくれている。こちらを読んで買うかどうか決めるのが良いのではないだろうか。

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