最近読んだ本のメモ。前回に引き続き既刊ばかり。
(1)
渡邉格『田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」』(講談社)
岡山のパン屋「タルマーリー」の話とマルクスの話が半々くらい(いまは休業中で、今夏をメドに鳥取に移転するらしい。ビールも始めるとのこと)。「タルマーリー」はいわゆる小商いの先駆け。「タルマーリー」のパンは表参道の「かぐれ」で売ってたので何回か食べたことがある。偽装だらけの中で(パン屋も偽装だらけとのこと)、偽装しないでやるとこうなるという、ひとつのモデルケースだろう。売上なども公開されており(執筆時点では月商200万円だった)、お店をやりたい人は参考になるはず。『資本論』の入門書としても最適では。
(2)
平川克美『小商いのすすめ 「経済成長」から「縮小均衡」の時代へ』(ミシマ社)
縮小しながらバランスしていこうと提言する本だが、実際、世界規模でもそういう話になっている。日本はヨルゲン・ランダースが『2052』で書いたグロークラインを体現できるのだろうか。出版業界で言えば、発行点数を大幅に減らせば、1タイトルあたりの初版も増えて、正常化する可能性は高い。ただ、しがみつこうとして職を失う人は多くなるはずで(出版業界は現在年間500億円ずつ市場が縮小しており、リストラも絶えない)、フリーランス適性が高くないと今後は厳しいのかも。
(3)
中川淳一郎『ネットのバカ』(新潮新書)
ネットニュース黎明期がどんな感じだったのか知ることができた。アクセス水増しのくだりなどは興味深かったが、ネットニュースも広告で配信してる記事には広告って書いたほうがいいと思う。
(4)
高城剛『私の名前は高城 剛。住所不定、職業不明。』(マガジンハウス)
離婚騒動の渦中に書かれた本。物を買いまくる生活の後で、断捨離に走ったというのはわかりやすい。すごい勢いで発芽玄米ジャーが推薦されていた。
(5)
島田潤一郎『あしたから出版社』(晶文社)
晶文社の名シリーズ『就職しないで生きるには』の21世紀版。今年、小さな出版社の立ち上げに携わるかもしれないので読んでみた。ひとり出版社を始めた実録で参考になったしいい話なのだが、父親の次は母親と、家族に借金しまくっているのは少し気になる。
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以上。読んだけど微妙だった本は割愛している。