この3年弱で、講義を中心に200名以上の一般の方の文章を添削してきたが、もっとも多く赤字を入れてきた箇所のひとつが、重複表現である。
重複表現を削ると文章はシンプルに
重複表現は、大きくわけて文章がくどくなるケースと、話がループするケース(長文で多いケースで、図らずも話が行ったり来たりしてしまう)の2つがある。
前者で有名なのは、「馬から落馬する」だろうか(「落馬する」だけで良い)。
いずれにせよ、重複を削ることで文章はシンプルでわかりやすくなる。特に文字数が限られている場合は、他の情報を入れる余裕が出てくるので、なるべく削ったほうがいい。
重複表現に対する文章添削例
例がないとわかりづらいと思うので、下記の文章を見てほしい。それほどひどくはないが、太字が重複箇所である。
処理性能はそれほど高くない。CPUがCeleronで、メモリーは1GBにとどまるのでヘビーな作業は難しい。とはいえ、ヘビーな作業をせず、ライトな仕事に使うなら十分だ。
また端子類は一般的なPCよりも少し多く、HDMI端子を搭載。また、前面の2つを含め、USB端子を4つ装備する。USBメモリーなどもスピーディに使えるのが便利だ。
あまり変更を加えずに、重複を削ると下記のようになる。
処理性能はそれほど高くない。CPUがCeleronで、メモリーは1GBにとどまる。とはいえ、ライトな仕事に使うなら十分だ。
端子類は一般的なPCよりも少し多く、HDMI端子を搭載。また、前面の2つを含め、USB端子を4つ装備する。USBメモリーなどもスピーディに使えるのが便利だ。
これならすっきり読めると思う。
対策は重複を意識して見直すこと
ちなみに、上記はライターの書いたものを(重複部を除いて)アレンジしたものである。
つまり、プロでも気を抜くと重複表現をしてしまうという話なのだが、一度プリントアウトして見直せば(科学的な理由は不明だが、画面だと見落としやすい)、たいていの箇所は潰すことができる。
文章がくどい、わかりづらいと言われる人は、送信・提出前に「重複表現を意識して見直し」というプロセスを加えてみてはどうだろうか。
読む人のために、その5分の手間をかけられるかどうかが、伝わる文章を書くための大きなポイントなのかもしれない。